Stokes方程式 その1 〜そもそもNavier−Stokes方程式って?

毎日更新を目標に掲げながら,いきなり10日以上も空けてしまいました...
なかなか難しいものですね.
今日は数式の練習の続きも兼ねて,Stokes方程式について,まとめてみようと思います.

Stokes方程式とは?

そもそもここで言うStokes方程式とはなんなのか?
昔の人は一人で複数業績をあげてしまうので,「あぁ,はいはい,アイツと言えばこれだよね」という訳にはいかず,ややこしいですね.
今回取り上げるのは,極低レイノルズ数領域( Re \approx 0)での流体力学の運動量保存則に対応します.
こうした極低レイノルズ数領域はストークス流れと呼ばれるようです.
なんでかは知りません.

今回はものすごく簡単に(天下り的に?)親玉的な存在のNavier-Stokes方程式から導出してみます.
結構,学術論文なんかでStokes方程式を持ち出してくるときは,
「linearity」「time-independence」なんかがキーワードとして挙がります.
Wikipediaの関連項をみると,非線形項は消去されているので,linearityについては納得ですが,
時間微分項があるので,後者の性質については???と思いますよね.
今回はその辺の疑問にお答えすべく,time-independentなフォームの導出(というか,両方の形式)を行いたいと思います.

Navier-Stokes Equation Recap

Navier-Stokes(ナビエ・ストークス)方程式という名はStokes方程式と比べると有名ではないでしょうか.
これは,ニュートン流体(ニュートンの粘性則に従うせん断応力を持つ流体の総称)に対する運動量保存則を示す式です.
導出は将来的にどこかで行うことにして,今は非圧縮状態を仮定した際の,Navier-Stokes方程式から出発して考える(流れの速さと系の音速の比であるマッハ数 Mを考えて, M > 0.3 を満たす領域では圧縮性の効果を考える必要があるとされています.これから導出を試みるStokes方程式ではRe \approx 0,すなわち流れが極めて遅い現象を対象にしているので,M\approx 0となるので非圧縮条件と考えて問題ありません.).ちなみに粘度・密度も場所に依存せず一定として目一杯単純化した式が以下のようになります:


\begin{align}
\rho \left( \frac{\partial \boldsymbol{u}}{\partial t} + \left( \boldsymbol{u}\cdot \boldsymbol{\nabla} \right) \boldsymbol{u}\right)
=-\boldsymbol{\nabla} p + \mu \boldsymbol{\nabla}^2\boldsymbol{u} + \boldsymbol{F}
\end{align}

式中の文字はそれぞれ,\boldsymbol{u}が流れ場(場変数というのは,位置に依存して値を変えますよ,と理解しておけばそんなに困らないと思います)を,\rho\muはそれぞれ流体の質量密度,粘度を,pは圧力場を,\boldsymbol{F}は外力場(体積力と呼ばれる,体積当たりに作用する力)を表し,全体としていわゆる運動方程式を連続体に拡張したような形になっています.簡単に各項の意味を説明しておきましょう.左辺は質点系力学でいうところのm\boldsymbol{a}の項に相当し,括弧内が流れ場の実質的な時間微分を表します.括弧内は \frac{D\boldsymbol{u}}{Dt}と表現されることもあり,実質微分ラグランジュ微分などと呼ばれます.数式を用いた直感的な解釈法として,私の場合,\boldsymbol{u}=\boldsymbol{u}\left( \boldsymbol{r},t\right)の全微分と捉えています.ただし,\boldsymbol{r}=\left( x,y,z\right).
こうすれば,大文字のDを用いて全微分を表現するとき,
\begin{align}
\frac{D\boldsymbol{u}}{Dt} = \frac{\partial \boldsymbol{u}}{\partial t} + \frac{\partial \boldsymbol{u}}{\partial x}\frac{\partial x}{\partial t}+\frac{\partial \boldsymbol{u}}{\partial y}\frac{\partial y}{\partial t} +\frac{\partial \boldsymbol{u}}{\partial z}\frac{\partial z}{\partial t}
\end{align}
となって,左辺が導かれるイメージがしやすいのではないでしょうか?その他,微小領域での運動量収支を考えても同様の項が得られます.
続いて,右辺第一項は圧力勾配でによる流れのドライブ効果,第三項は同様に外力による効果ですね.圧力の項に空間微分が現れる理由については,微小領域での収支を考える方がわかりやすいかもしれませんね.最後に,右辺第二項はニュートン流体の持つ性質に起因するもので,粘性由来のせん断応力の効果を表します.


ちょっと思いのほか長くなってきたので,今回の記事はこのあたりにしようと思います.
次回は,無次元化についての話から始めたいと思います.