Stokes方程式 その3 〜やっと導出

なんと驚いたことに前回の更新から二ヶ月以上も間が空いてしまいました...
なるべくconstantに更新したいのですが,なかなか難しいですね...

Stokes方程式の導出 その1

さぁ,ようやく目的のStokes方程式の導出が行えるところまできました.前回あほみたいに説明していた無次元化のその他の注意点については(気が向いたら)別の機会に簡単に説明することにして,さっそく導出していきましょう.

ここまで来ると,めちゃめちゃ簡単です.Re\to 0の極限をとるだけです.前回得られた無次元化されたNavier-Stokes方程式を見てみましょう.

\begin{align}
\frac{\partial {\boldsymbol{u}}}{\partial {t}}+\left( {\boldsymbol{u}}\cdot {\boldsymbol{\nabla}}\right){\boldsymbol{u}}=-{\boldsymbol{\nabla}}{p}+\frac{1}{Re}{\boldsymbol{\nabla}}^2{\boldsymbol{u}}+{\boldsymbol{F}}
\end{align}
不細工なのでハット記号は省略しましたが,無次元化はなされています.この式に対し,上記極限を考えると,Reで割られた右辺第二項以外は無視できてしまうことがわかります.すなわち,以下のラプラス方程式を得ます.

\begin{align}
0={\boldsymbol{\nabla}}^2{\boldsymbol{u}}
\end{align}

Stokes方程式の導出 その2

上の式では,目的の時間依存しない形は得られましたが,圧力場の効果を考えてやることができず,場合によっては少し不便になったりもします.そこで,圧力場の効果も取り込んだ形式の式を得るために,無次元化の仕方を少し変えてやりましょう.特徴的な変数3つの選び方が一意に決定される束縛条件は特に存在しないので,他にも候補があります.そのうち,特徴的長さ,特徴的速度,そして系の粘度(L_0,U_0,\mu)を選択してやると,無次元化されたNavier-Stokes方程式は以下のように変化します.

\begin{align}
\frac{\partial {\boldsymbol{u}}}{\partial {t}}+\left( {\boldsymbol{u}}\cdot {\boldsymbol{\nabla}}\right){\boldsymbol{u}}=\frac{1}{Re}\left(-{\boldsymbol{\nabla}}{p}+\mu{\boldsymbol{\nabla}}^2{\boldsymbol{u}}+{\boldsymbol{F}}\right)
\end{align}
この式でRe\to 0の極限をとってみると,結果は以下のように微妙に変化します.

{\boldsymbol \nabla}p=\mu{\boldsymbol \nabla}^2{\boldsymbol u}+{\boldsymbol F}
これで圧力場も考慮したtime-indepenedentな表式が得られました.

Stokes方程式の導出 その3

さらに,Stokes方程式の導出法にはもう一通り存在します.上記2つの方法はどちらかと言うと数学的に機械的に導出を行いました.第3の方法では,Re<<1という条件に対する物理的解釈からStokes方程式を導いてみましょう.
ちなみに,これがwikipediaに記載されている表式の導出法になります.これは,wikipediaに書かれている通り,流れが非常に遅いという条件から,流れの二乗の項は無視小と近似して良いという性質を利用して,(あるいは,Re<<1の時,慣性の効果が無視できるという物理的考察を利用して,)

\rho \cfrac{\partial {\boldsymbol u}}{\partial t}=-{\boldsymbol \nabla}p+\mu{\boldsymbol \nabla}^2{\boldsymbol u}+{\boldsymbol F}
time-independentな性質を持つはずのStokes方程式に対し,この表式が好まれる場合が存在する理由については,次回以降Stokes方程式の性質について説明する仮定で言及したいと思います.

今後の記事について

初回の記事でLubenskyの本に沿って記事を書いていきたいと言っておいてなんですが,Stokes方程式の性質に関してまとまった本に関してはそもそも(僕の知る限り)存在しないことに気が付きました.ですので,まずは,Stokes方程式から得られるいくつかの面白い性質について数回まとめていきたいな,と考えています.