Stokes方程式を解く! 〜その1

Stokes方程式を解く!

前回,Stokes方程式にはいくつか面白い性質があるよ〜というお話をしていました.それをこれから紹介していきたいのですが,なんといっても一番おもしろい性質は解析的に解けてしまうという点でしょう.

親玉のNavier-Stokes方程式については,解が存在するのか?またその性質は?といったものがミレニアム問題の一つに選出されてしまうくらいの難問で2016年現在もいまいちよくわかっていないのですが(最近,乱流の性質について百数十年来の疑問を東大グループが解決した,といのが話題になっていましたね.),線形化されたStokes方程式の一般解は19世紀にすでに求められています.これは,発見者の名前を冠してLambの一般解として知られています.なぜ解なのに発見者と呼んでいるかについては後々わかってもらえるかと思います.今回の記事では,導出の方針だけ示したいと思います.

どのStokes方程式を解く!?

さて,Stokes方程式の一般解を求めちゃおうというわけですが,肝心のStokes方程式とはどんなものでしたっけ?前回の記事を見ると,なんと驚いたことに三通りも表式があるんですよね.面倒くさい.今回はこのうち,以下のものを扱っていきたいと思います.

\begin{align}
\mu{\boldsymbol\nabla}^2{\boldsymbol u}={\boldsymbol \nabla}p
\end{align}
この形式を選択した理由は以下の二点です.第一に,この式を用いれば一例目で示した,圧力項を含まない表式の一般解も自然と導出されるからです(下記参照).第二に,Stoke方程式は,線形性ゆえに,与えられた境界条件のもとでは,解が一意に決定されるためです.なので,解析的に解を求める状況では,時間依存項を考える必要がありません.その辺の話もおいおいどこかでできればなぁ,と思います.

どうやってStokes方程式を解く!?

上記の式をよーく見てやると(別によく見なくても),いわゆるPoisson方程式という形をしていることがわかります.これは,数学的には,非斉次(inhomogeneous)線形二階偏微分方程式ということになります(たぶん).もし,右辺が0ならば,前回も述べた通り,以下のようなLaplace方程式と呼ばれる斉次方程式となります.

\begin{align}
{\boldsymbol \nabla}^2{\boldsymbol u}=0
\end{align}
Laplace方程式の解は調和関数と呼ばれるものになることが知られています(というか,これが調和関数の定義?).つまり,一瞬で求まります(今回のケースでは非圧縮条件(solenoidal condition)が存在するので,ちょっと色々条件が添加されますが).Poisson方程式の解が知りたいのに,簡単にしたLaplace方程式の解が求まって何が嬉しいんや?と思うかもしれませんが,これが実はとっても大事な話なんです.非斉次型微分方程式の解を求めるにあたっては,以下のような便利な定理があります.

非斉次方程式の特殊解(particular solution)と対応する斉次微分方程式の一般解の和はその非斉次微分方程式の一般解となる

イマイチよくわからん,という人は各用語の定義をどこかで調べてきて下さい.とにかく,ここで言っているのは,Laplace方程式の一般解さえ求まれば,あとはPoisson方程式の適当な特殊解をとにかく見つけて,導出完了だよ,ということです.Lambさんはこの特殊解を見つけてくれたんですね.なので,上では発見者と書きました(もちろん流体力学のかなりの大家です.偶然見つかったというよりは,関数形からある程度あたりをつけていったのだとは思います.かなり綺麗な関数形ですし).まずは準備段階としてLaplace方程式を解いてやりたいので,次回はそのために必要な調和関数に関して話をしていきたいと思います.準備の準備ですね.

おわび

ちょこちょこ式に間違いがあるのを自分で発見してこっそり訂正したりしています.
ごめんなさい.